2022年に『カタリスト Lab』で4回連続講座として実施した『校内研修のミカタ※』。
主に研究主任など、学校内の研修や研究に携わる先生方約20名にご参加いただきました。
一方的に教える形を取らない大野睦仁さんの講座では、先生方が主体的に参加されている様子が伺え、参加者同士のコミュニティも自然と形成されているようでした。
一方、研究主任というポジションに関する情報、周囲に相談できる環境はまだ少なく、悩んでいる先生方が多いこともわかりました。
今回、その参加者の一人、あおのりさんに、参加にいたるまでと参加後の今、ご自身や学校内でどんなことが起こっているか、約1年に渡る様子をレポートしていただくことになりました。
成功事例としてではなく、プロセスの共有にチャレンジしてくださったあおのりさんの1年の軌跡が悩んでいる先生方に届いたら嬉しいです。
※『校内研修のミカタ』の詳細はこちら。
「これをすれば大丈夫」を追い求めていた
「みなさんの学校で、研修や研究をしているときの先生方はどんな表情ですか?」
カタリスト Lab「校内研修のミカタ」で大野睦仁先生からこんな言葉を投げ掛けられました。
楽しい、ワクワクする、苦しい、辛い、早く時間が過ぎてほしい。研修・研究の会に参加するときの先生方の表情は様々だろうし、自分自身もこれまでその様々な表情でそういった場に参加してきた自覚がありました。
では、様々な表情の中でも
『研修や研究が楽しいとき、前向きに参加できる場になっているとき』
そんなとき、そこに参加している先生方は、どんな表情をしているのだろう?そしてそれは、どんなとき?どんな共通意識がその場にあるとき?お互いがお互いをどう捉えているとき?
そんな風に思考を巡らしつつも、僕の中に最初に出てきた問いは「(研修や研究で)“何を”すれば良いか」でした。「“これをすれば大丈夫”」といった、コンテンツを追い求めるものでした。
具体的な手段ばかりを追い求めることはよくないと分かりつつも、ラボの初回、僕はそんな「特効薬」を求めていました。
必要なのは「特効薬」ではなく、今の職場環境で「自分にできること」
でも、講座の初回が終わる頃「他校で効果を出した実践が必ずしも自校での特効薬にはなり得ない」と再認識しました。なぜなら、そこに所属する教員が持っている価値観や教育観、目の前の子どもたちの実態、学校それぞれがもつ文化、いくつものファクターが絡み合って『学校』を形づくっているのですから。
そして僕は、「自分なら何ができるのか?」を考えました。大野先生と同じことを(形だけ)職場の先生方にしてもらっても、それは僕自身が満足するだけです。
「それは学校自体の成長や次へのチャレンジに繋がらないだろうな」
という確信がありました。
ここでの『確信』は、普段の授業づくりの場面で感じる感覚と同じでした。
僕たち教師は、他の先生が実践された素敵な取り組みを自分の授業でもやってみたい、そんな想いを持つことがあると思います。そしてその実践を追試するのですが何だかうまくいかない、思っていたような反応が子どもたちから返ってこない、そんなことが往々にしてあるのではないでしょうか。
他の先生の考えたものは、あくまでもその先生の目の前にいる子どもたち、その先生のおられる学校環境を想定されたものです。目の前の子どもたち・学校環境が異なる場で授業をするのですから、「自分の授業」をつくるには授業者個々の工夫や色が必要になってきます。
上述した研修・研究をつくっていく場合の『確信』は授業づくりのそれと同じだと感じたのです。
そんな想いを胸の真ん中に置きつつ、職場の中で自分にできることは?
それを模索し動き出した昨年度の後半、そして今年度。これからその様子をお伝えできればと思います。
<執筆者プロフィール>
あおのり
長野県公立小学校教諭
昨年度から校内研究・研修を担当する“副主任”に。主任と力を合わせて研究・研修の場づくり、先生方のチャレンジの可視化、授業づくりへのアドバイス(一緒に悩み一緒につくっています)などをおこなっています。
編集:たかのまさこ