学力の国際比較といえば15才の学力調査であるPISAが有名ですが、OECDは成人の学力も測定しています。今回は「成人読解力テスト」の国際比較を紹介します。
*この記事は「スゴ論」とのコラボ記事です。詳細は文末へ
結論
加盟国平均と比較すると、日本の成人の読解力と数的思考力は加盟国諸国で1位であり、全ての学歴において高い
グラフ1 成人の「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決力」の国際ランキング
・日本の成人の読解力は、OECD加盟国の中で1位
・日本の成人の数的思考力は、OECD加盟国の中で1位
・但し、ITを活用した問題解決能力は10位
グラフ2 本人の学歴別のスコア
・中卒者、高卒者、大卒者、全てにおいて、読解力と数的思考力が高い
グラフ3 本人の学歴別のスコア、アメリカ・ドイツとの比較
・日本の成人(中卒者)の読解力は、アメリカやドイツの高卒者よりも高い
分析手法
2012年にOECDが実施したPIAAC(国際成人力調査)のテスト結果を使用し学歴や年齢別のスコアを比較
編集後記
OECDの国際学力調査は子どもの成績ばかりが注目されますが、成人の読解力や思考力が高いこと、特に全ての学歴において高いことは嬉しいですね。ITを活用した問題解決能力になると相対的に順位を落としてしまうことや高等教育機関の国際評価が低いことは、子どもも大人も読解力や数的思考力が高いことを考えるともったいないなと感じます。潤沢な人的資本に恵まれているもののそれを最大限活かせていないのかもしれません。
(文:識名由佳「教育のスゴい論文」より転載/ビジュアルコンテンツ:たかのまさこ)
参考文献:
Education Policy in Japan: Building Bridges towards 2030. (2018). https://read.oecd-ilibrary.org/education/education-policy-in-japan_9789264302402-en
文部科学省 国際成人力調査(PIAAC:ピアック)https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/1287165.htm
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