「初任者へおすすめの一冊 (2022)」として4月から学校現場で教職員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
おすすめの書籍
おすすめの理由
おすすめの理由はこの3つです。
①学校で働く人にとってめちゃくちゃ重要な知識である「子どもの権利」のキホンを押さえられる。
②絵本なので、サクッと読めるし、子どもたちとも一緒に読める。ワークブック付きで授業化も可能。
③「子どもの権利」を学ぶことで、学校で働くあなたの気持ちも権利も、大切にされるべきものなんだと知ってほしい。
これから学校で働き始める人は、「コロナ」の影響を避けては通れません。 2年前、首相の突然の宣言によって、全国の学校が一斉に休校になりました。この春から新たに先生になるみなさんの中には、大学生の立場でこの事態に巻き込まれ、もどかしい思いをした人もいることでしょう。
そして、その後、学校に求められた密にならない授業や、感染対策を徹底した学校行事、オンライン授業などなど・・・「コロナ」によって子どもたちの学びや遊びの環境、生活の環境は、大きな影響を受けました。
この絵本は、2年前コロナショックに世界中があわてふためいていた時に、国連の子どもの権利委員会が出した声明をもとに、つくられたものです。
大人が大変で、生活や心のゆとりがなくなったとき、子どもの気持ちは後回しにされがちです。「わがまま言えない」と気持ちをいうのをやめてしまう子も出てきます。
こどもはそもそも言葉で伝えることが大人よりも苦手です。だから、子どもの「声」は、言葉だけでなく、表情や仕草や様子を大人が丁寧に見ようとすることで、はじめて聞こえてきたりするものだと思います。
あれから2年たち、”非常事態が日常化”する中で、今、学校では、子どもたちの気持ちは大切にされているでしょうか。「わがまま」として、処理されてしまっていることの中に、大切なことがあるかもしれません。諦めることにすっかり慣れて、気持ちを言わないようになってしまっている子もいるかもしれません。
もちろん、全部子どもの希望の通りにしなければいけないということではありません。いろんな事情で叶わない、むずかしいことも当然あります。ですが、そんな時も子どもの気持ちを受けとめながら、子どもの「どうして?」に誠実に答えることは、できるはず。(実際、2年前、デンマークやニュージーランドといった国々では、首相が子どものための記者会見を開き、「お友達の誕生日パーティをしちゃダメですか?」といった質問に丁寧に答えたりしていました。)
「”〜したい”って言ってもいいんだな」「”どうして?”って聞いてもいいんだな」と子どもたちが思えるような、子どもの「声」を受けとめることができる先生に、ぜひなってほしいと思います。
※この絵本は、読み聞かせをするようなタイプの本ではありませんが、一緒にページをめくりながら、児童生徒と対話する糸口をつくるものとしては最適です。コピーして使える”ぬりえワークブック”もついてるので、授業でも活用できますよ!
おすすめしてくれた方
武田 緑さん
民主的な学び・教育=デモクラティックエデュケーションを教育ファシリテーター/Demo代表。人権教育・シティズンシップ教育・民主的な学びの場づくりをテーマに、企画や研修、執筆、現場サポート、教育運動づくりに取り組む。主な取り組みは、全国各地での教職員研修や国内外の教育現場を訪ねる視察ツアー「EDUTRIP」、多様な教育のあり方を体感できる教育の博覧会「エデュコレ」、立場を越えて教育について学び合うオンラインコミュニティ「エデュコレonline」、学校現場の声を世の中に届ける「School Voice Project」など。
著書:読んで旅する、日本と世界の色とりどりの教育(教育開発研究所)
(企画:木村彰宏 / 編集:たかのまさこ)
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