「初任者へおすすめの一冊 (2022)」として4月から学校現場で教職員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
おすすめの書籍
おすすめの理由
私がこの本のタイトルにある「学習科学」に出会ったのは、大学1年生の時です。
高校時代、私は自分自身が受けてきた、「教師が一方的に教科書の内容を伝えるという一斉指導」に疑問を持っていました。
しかし、大学に入って学び始めた認知科学や学習科学では、そもそも学びは「学習者自身が周りと関わりながら主体的に知識を構築していくもの」として捉えられ、教師から一方的に知識を伝授されるものとは考えられていませんでした。これは自分にとっては大きなインパクトがあり、そしてこの視点から、これからあるべき授業や学習環境の在り方を考えていくことは非常に重要だなと強く感じたのを、今でも覚えています。
2022年度は新学習指導要領が高校でもスタートし、小中高すべてで新しい学習指導要領でのカリキュラムがスタートする年です。そして、この学習指導要領においても認知科学や学習科学の知見というのは多く活かされています。現にここ数年で「メタ認知」「対話」「自己調整学習」「探求学習」「リフレクション(振り返り)」といった学習科学でも研究されている重要な概念を、教育現場でも多く耳にするようになりました。この学習科学ガイドブックでは、そんな学習科学の研究領域で分かってきた知見が、日本の学習科学に携わる研究者の方達によって1冊の本にギュッとまとめられてあります。
序章には次のように書いてあります。
本書は,経験や憶測によって右往左往する教育改革から脱却し,世界各地で積み重ねられた学習の科学的知見に基づく教育改革を実現するために,全員が知っておくべき,いわば教養としての学習科学の入門書です。(p.2)
これから教壇に立つみなさんは、色々な授業の方法や、様々な情報に触れることになります。時には、どうしたらよいか道に迷うこともあるでしょう。そんな時は、ふと立ち止まって、自分自身の授業を振り返ったり、子ども自身の学びを見つめ直したりしてみましょう。その時の見つめなおす際の一つの視点として、きっとこの本が役に立つのではないかと思います。
おすすめしてくれた方
服部 晃範さん
静岡県公立小学校教諭。大学時代の専攻は情報教育。11年間学級担任を務めた後、2019年度より英語専科教員として市内3小学校の外国語の授業を担当している。
「小学校英語 はじめてのICT&1人1台端末活用アイデア」(明治図書)
「Q&Aでわかる! はじめての小学校英語専科」(明治図書)
Twitter: https://twitter.com/nin222
ブログ:https://nin.hatenadiary.jp/
(企画:木村彰宏 / 編集:たかのまさこ)