「初任者へおすすめの一冊 (2022)」として4月から学校現場で教職員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
おすすめの書籍
おすすめの理由
初任者の皆さんは「教壇に立つ」ことにどんなイメージを持っていますか?
ワクワクしていますか?ドキドキしていますか?不安な思いを持っていますか?
おそらくこれらの感情が入り混じっているのではないかと思います。
子どもたちと心を通じ合えるだろうか。
親にクレームを入れられることはないだろうか。
同僚とは上手くやっていけるだろうか。
昨今の報道に関心があれば、これらネガティブな側面をだいぶ強めに感じているかもしれません。
しかし教壇に立つ・担任をすることの本質は、「子どもたちとどう向き合うか」にあります。
同僚も保護者もそれを取り巻く環境であり、「毎日子どもたちとどう関わり、成長を支援していくか」、重要なのはこの一点に尽きるはずです。
そう考えた時、初任者の方に
「自律する子の育て方」(SB新書)
を強くお勧めします。
人が成長していく3つの要素として、「スキル(経験)・知識(理論)・マインド」の3つがあると言われています。
元麹町中学校長であり、横浜創英の校長である工藤勇一さんは教育関係者なら知らない人はいないはず。工藤校長のスキル(経験)を、多くの先生・校長が求めているのは間違いないです。
そこに知識(理論)として、脳神経科学者の青砥さんが加わって本書は作られています。工藤校長が麹町中でとった実践が、青砥さんの丁寧な理論で説明されていて。。。二人の先生によって、理論と実践が行き来しながら解説された素晴らしい一冊です。
この本の中で、学級を作るには「心理的安全性」と「メタ認知力の向上」が必要だとあります。学級経営に何よりも力を入れていた15年間のボク自身の教員生活を思い返してみると、本当に同意見なんです。
大事なのは「本質を知ること」で、この本質に辿り着くまでに、多くの失敗をしてきました。失敗が成功の元ならいいじゃないかと思うかもしれませんが、実際にはそうではありません。失敗してしまった時間は二度と戻らず、当時ボクが子どもたちに対してやってしまったことは、今でも自分の中に残るトゲとなっています。
ボク自身がいかに成長しても、このトゲが抜けることはありません。トゲが持つ痛みを感じながらそれでも前に進むのが先生の宿命だとも思うのですが、一冊の本を読むだけでそれがショートカットできるなら、読まない手はないと思いませんか?
この本の中で、工藤校長が
「どうしたの?」
「あなたはどうしたいの?」
「ボクにできることがある?」
という3つの言葉がけの大切さを主張しています。
こういう先生の具体的な行動についても実践と理論、両面からの解説が豊富にあります。
これから初任者になる方にとっては一読しただけでは「?」が残る本だと思います。しかし、実際に学校現場に立ったときに、また開きたくなる一冊です。この本に戻ってきて、先生としての根っこを確認したくなる一冊です。
ボクはKindleで購入しましたが、紙の本で買い直したぐらい…胸を張っておすすめします。
お互い張り合えたら嬉しいです!
※その他、初任者へおすすめの書籍リンク→https://ao-labo.com/kyouikusho/
おすすめしてくれた方
青山 雄太さん
一般社団法人PLAYFUL ヒミツキチ森学園グループリーダー(先生)
15年間横浜市の小学校教員をした後、2020年からはヒミツキチ森学園のグループリーダー(先生)として活動。
ヒミツキチ森学園は2020年に葉山に開校した小さなオルタナティブスクール。プロジェクトやワールドオリエンテーションの探究学習を中心に学びながら、「自分のどまんなかで生きる」をビジョンに、葉山の町や自然と強く関わる学園。学園外の小学生を対象に季節スクールや、大人の探究の学び場もつくっている。
月間PV10万回を超えるブログ「あお先生の教育らぼ」を運営。「みんなのオンライン職員室」では先生向け講座の講師をしたり、執筆活動やファシリテーター、振り返りの伴走など、先生以外にも様々な活動を複業として展開している。
(企画:木村彰宏 / 編集:たかのまさこ)