「初任者へおすすめの一冊 (2021)」として4月から学校現場で教員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
「教育心理学概論」三宅芳雄(著),三宅なほみ(著)
おすすめの理由
今回、非常に尊敬している先生方の書籍を選ばせていただきました。
題名は少し堅そうで難しそうな感じもするかもしれませんが、認知科学・学習科学の第一人者である三宅両先生が人の学びのプロセスについて様々な研究や事例を引用しながら、とてもわかりやすく解説してくださっている本です。
おすすめしたいと思った理由は、教育や教授に関する様々な手法やHow toが世の中に溢れる中で、よりどころとする理論を持っておくことがとても大切だと思ったからです。
実は小学校教員をしていたころの私は、子どもたちの学習環境をデザインする立場にあったにもかかわらず、「そもそも学びとは一体なんなのか」ということについて、恥ずかしながらあまり深く考えたことがありませんでした(今思えば)。毎日一生懸命やっていたし、子どもたちと楽しく過ごしていたけれど、「子ども一人ひとりがどう学んだか」ということにしっかり目を向けられていたかと言われると、全く自信がありません。しかし、学習科学という分野に出会って「人はいかに学ぶか」のメカニズムについて学び始めてからは、学びの捉え方が変わり、そこへの向き合い方が変わりました。そして、「もっと早く(現場に出る前に)出会っておきたかった」と思ったのでした。。
この本は、読んで一度で内容を理解するというよりも、現場に出た後も何度も立ち戻れる場所のように捉えてもらえるといいのかなと思います。教室での実践をいつも理論と行ったり来たりしながら振り返ることで、少しずつ教育観・学習観がつくられ、広がり、深まっていくのではと思います。「主体的・対話的で深い学び」を本当の意味で実現できる先生になっていくために、ぜひ一緒に学びましょう!
おすすめしてくれた方
池田由紀さん
認定NPO法人Teach For Japan 職員 / 聖心女子大学大学院(益川研究室)
早稲田大学教育学部卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社し物流・用船事業に従事。2015年4月よりTeach For Japan第3期フェロー(教師)として奈良市内の公立小学校に赴任した。教室では「子どもたちと社会、世界を繋ぐ」を軸にした実践を行い、地域では子どもたちとダンスクラブを立ち上げたり、映画上映イベントや教育関係者が交流できる場づくり・ワークショップの企画をしたりと、学校内外で様々な活動に取り組んだ。2018年4月より拠点を東京に移し、現在は大学院で学習科学を学びながら、教育NPOで教師の採用や研修開発などをしています。
twitter:https://twitter.com/yuk110822
(企画:木村彰宏 / 編集:高野雅子)