「初任者へおすすめの一冊 (2021)」として4月から学校現場で教員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
「やさしく、つよく、おもしろく。」ながしまひろみ(著)
おすすめの理由
4月から教師としての仕事が始まることに対して、期待と不安で胸がいっぱいの先生も多いのではないでしょうか。私自身、この時期にはドキドキしていたことを思い出します。
きっと、多くの先生が
「子どもたちがワクワクするような授業がしたい」
「子どもたちの成長に関われるといいなぁ」
「子どもたちと楽しく過ごせるといいなぁ」
…といった希望を胸に抱いていることだと思います。「先生になりたい」と思ったときの気持ちと重なることが多いのではないでしょうか。
ただ、実際に仕事が始まると、
・事務作業が多くててんやわんやする
・保護者の対応をどうすればいいか分からない
・授業が思ったよりうまくいかない
…と、目の前のことにいっぱいになってしまう方も多いと思います。そうなると余裕がなくなってしまい、子どもたちに対して優しくできなかったり、教師として持っていた希望を失ってしまったり・・と苦しくなってしまうかもしれません。
そこで、私が初任者にオススメする本は「やさしく、つよく、おもしろく」(ながしまひろみ著)です。ほぼ日の糸井重里さんの言葉とながしまひろみさんの漫画がうまく組み合わさっています。タイトル「やさしく、つよく、おもしろく」は株式会社ほぼ日の理念でもあります。
自分に余裕がなくなってしまっている時に、この本を読むことでほっと一息をつくことができます。自分が教師として大事にしたいことを思い出すきっかけにもなります。
書かれている言葉を一つ紹介します。
「見えないものとか
聞こえない声だとか、
あえて言ってないこととか、
うまく言えないままのこととか、
そういうことのほうが
ずっと多いのだということを、
ぼくたちは忘れそうになる。」
この言葉だけでも、何か感じる方も多いでしょう。私自身、こうした言葉に救われながら、毎日子どもたちと過ごしています。教室の机に置いていて、パッと開いたページに書かれていることを読むことで、自分の心の中に余裕をつくり出しています。人と人とが関わることの楽しさ、生きることのおもしろさを思い出させてくれます。
初任者の皆さんの教師としての人生が豊かになることを祈っています。共に楽しみましょう。
おすすめしてくれた方
若松 俊介さん
京都教育大学附属桃山小学校教諭。「国語教師竹の会」事務局。「授業力&学級づくり研究会」会員。「子どもが生きる」をテーマに研究,実践を積み重ねている。単著「教師のいらない授業のつくり方」(明治図書)、共著「授業ファシリテート入門」(ジダイ社)、「『深い学び』を支える学級はコーチングでつくる」(ミネルヴァ書房)など。
(企画:木村彰宏 / 編集:高野雅子)