「初任者へおすすめの一冊 (2021)」として4月から学校現場で教員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
「こころの作文ー綴り、読み合い、育ち合う子どもたち」 勝村謙司・宮崎亮(著)
「こどもたちはランドセルにいろんな思いや生活を詰めて学校に通ってくるんだよ」 そんな言葉を、ある先生からに言われたことがあります。
この本は、小学校での「自由題作文(生活綴方の系譜をひく実践)の記録です。実際に子どもたちが綴った文章がたくさん掲載されています。そして、家族の話や、学校以外での日々のことも綴られる、その作文を読み合う中で、子どもたちの間で生まれたもの、クラスで起こったことが、エピソードベースで描かれている、とっても読みやすい本です。
初任者の皆さんに、この本がなぜおすすめなのかというと、それは「作文の授業は、とてもすばらしいからやりましょう」ということではありません。
子どもたちの「背景」や「気持ち」は、思っている以上に、「見よう」「聞こう」としないと、見えないし聞こえないものだと感じます。
思春期の中高生はもちろん、小学校低学年であっても、小さいからだにいっぱいの、ときには抱えきれない思いを抱いて、教室で座っている(ひょっとしたら暴れている)のかもしれない。 そんな、子どもたちを見るまなざしと、子どもの声を聴きとる感度のようなものに、この本を通して触れられると思います。
方法論の手前で、教師としてのあり方を自問できるといいな、と思い、初任の先生方に、おすすめします^^
おすすめしてくれた方
武田緑さん
教育ファシリテーター・Demo代表
民主的な学び・教育を日本中に広げることをミッションとして、教育関係者向けの研修の企画運営、現場の課題解決のための伴走サポート、教材やツールの開発・提案、キャンペーンづくりなどに取り組んでいる。シティズンシップ教育、人権教育、オルタナティブ教育、学校と学校外の協働、子どもの参画、ファシリテーション、ワークショップデザインなどが専門。
具体的な取り組みに、国内外教育視察ツアー「EDUTRIP」、多様な教育のかたちを学ぶオンラインコミュニティ「エデュコレonline」などがある。