「初任者へおすすめの一冊 (2021)」として4月から学校現場で教員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
「13歳からのアート思考」末永 幸歩 (著)
おすすめの理由
13歳からのアート思考 ゲームチェンジを迎える世界 4月から教員になる皆さんにとって、最も大切なことの1つは「これからの時代に合った世界観」を持つことです。
学校の世界でよく言われる、子ども観、教材観、そして教育観といったものは、世界観に内包されていると考えます。 これから、世界は様々なゲームチェンジを迎えます。
簡単に言うと、早く、多く、安くモノ・コトを生み出し既存の価値を拡大していくゲームから、自分だけの見方を生かして、新たな価値を創出していくゲームへの移行です。
アート思考の台頭 さて、そんな新たな世界で、今最も注目されている思考法がアート思考と呼ばれるものです。
アート思考と聞くと、図工の話?となるのが自然だと思います。
しかし、これはそういった領域の話にとどまらず、これからの時代における価値創出のカギとなる「自分だけの見方」に注目した思考の在り方です。
末永幸歩さんの13歳からのアート思考では、モネの「睡蓮」を見たある少年が、かえるを見つけたと言います。
しかし、この「睡蓮」にはかえるは描かれていません。
その少年は「葉っぱの下にかえるが泳いでいる」と自分だけの見方を働かせて、そう言ったのです。
異なり力から優れ力へ 睡蓮とは何か?と聞かれ、優れた答えを出すとするならば、「フランスの画家クロード・モネが、水生植物の睡蓮を題材に描いた一連の絵画の総称。モネの代表作の一つである。」となるでしょう。
しかし、こういった答えは既に誰もが簡単に知ることができるので、価値は大きくはありません。
こういった力を優れ力と呼びましょう。
それに対して自分の見方を働かせて自分なりの答えを出す力、これが異なり力です。
学校現場では、これまで前者の確かな答えを弾き出す優れ力を価値づけることを多くしてきました。
しかし、この力の価値はどんどんと失われていきます。なぜならそれはヒトよりもキカイが得意とするからです。
だからこそ、ヒトのみに(今のところ)許される自分だけの見方を自由に働かせ、それを源泉として新たな価値を創出していく異なり力を、僕たちは評価していくことが大切であると考えます。
今、ビジネスの世界だけでなく、学校の世界でもアート思考は注目され初めています。
読み物としてもとても面白く、この一冊を読んでその本質を掴み取ることができたなら、新たな教育観、世界観を手にすることとなるはずです それは、4月から子ども達と接するあなたにとって、大きなプラスをもたらしてくれるものと思います。
おすすめしてくれた方
坂本良晶 さん
1983年生まれ。京都府公立小学校教諭。採用10年目。大学卒業後、大手飲食店チェーンに勤務し、兼任店長として全国一位の売上を記録。教員を目指し退職後、通信大学で教員免許を取得。翌年教員採用試験に合格。2017年、子どもを伸ばしつつ、教員の働く時間を減らそうという「教育の生産性改革」に関する発信をTwitterにてスタートし、現在フォロワー数は20000人を超える。教師に向けての教育イベント「watcha!」や関西教育フォーラム等でスピーカーとして登壇。
Twitter:https://twitter.com/saruesteacher
著書:これからの教育を面白くする! さる先生の学校ゲームチェンジ 他
(企画:木村彰宏 / 編集:高野雅子)