大人は、誰もが子ども時代を過ごしてきましたが、自分の過ごした時代や家庭環境等から得た経験は今の子どもと単純比較できるものではありません。今を生きる子ども、様々な背景を持つ子どもに何が起きているのか数字を使って表してみました。この数字単体で子どもの実態を理解できるわけではありませんが、関心の入り口としてご活用いただければ幸いです。
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ひとり親世帯の貧困*1
2018(平成30)年の『貧困率』調査では、「子どもがいる現役世帯」の世帯員は 13.1%、そのうち「大人が一人」の世帯員はは 48.3%、「大人が二人以上」の世帯員は 11.2%が貧困状態となっており、ひとり親世帯の貧困率の高さが目立ちます。
子どもの貧困*1
2018(平成30)年の『貧困率』調査では、「子どもの貧困率」は 14.0%で、7人に一人が貧困状態です。2012年の6人に一人の状態から改善はしましたが、2015年以降は14%前後の推移が続いています。
就学援助*2
「就学援助」とは、経済的理由により、就学困難と認められる児童生徒の保護者に対して自治体から必要な援助が与えられる制度です。就学援助を受けている子どもは全国で約136万人です。全国の就学援助率を見ると、地域格差があることがうかがえます。
社会的養護*4
「社会的養護」とは、虐待や経済的な理由により、親元で暮らせない子どもたちを公的責任で社会的に養育する仕組みのことです。日本で社会的養護下にいる子どもは約45,000人です。親元で暮らせない理由のうち、虐待は約6割と言われています。
いじめ*3
文部科学省の調査では、いじめの認知件数は約51.7万人(小・中・高・特支)です。発見のきっかけは「アンケート調査など学校の取り組み」が約55%と最多で、続いて「本人からの訴え」が約18%「学級担任のが発見」が約10%となっています。
不登校*3
文部科学省による不登校の定義は、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的理由による者を除いたもの」とされています。小学校では約6.3万人、中学校では13.2万人、高等学校では4.3万人となっています。
自己肯定感*5
高校生に向けた意識調査の「自分はダメな人間だと思うことがある」の項目では、『とてもそう思う』『まあそう思う』の合計が72.5%となり、他国と比較しても高い比率となっています。
教育格差*6
SESとは、家庭の社会経済的背景(家庭所得や親の学歴等)の指標を表すものです。小学校6年生、中学校3年生への調査では、SESが高いほど正答率が高い結果となっています。
大学等進学率*7
日本の大学・短期大学、専修学校・各種学校の進学率は全世帯で約73%(うち大学等の進学率は52.1%)の数値を示していますが、ひとり親家庭では約58.6%(うち大学等の進学率は23.9%)、生活保護世帯では約35.3%(うち大学等の進学率は19%)、児童養護施設では約27.1%(うち大学等の進学率は12.4%)と大きな差があります。
*数字単体で子どもたちの状況を判断できるものではないため、詳細は最下部の出典も併せてご確認ください
*引用数値の年度や時期もそれぞれ違うため出典よりご確認ください
出典
*1=厚生労働省,2019年,国民生活基礎調査
*2=文部科学省 ,令和2・元年度就学援助実施状況調査結果
*3=文部科学省,令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
*4=厚生労働省 ,社会的養護の現状について(参考資料) 平成29年12月
*5=国立青少年教育振興機構,平成27年8月,高校生の生活と意識に関する調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-
*6=文部科学省国立大学法人お茶の水女子大学,平成29年度全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究
*7=内閣府 ,平成30年 第6回 子供の貧困対策に関する有識者会議 ,資料1 子供の貧困に関する指標の推移