「初任者へおすすめの一冊 (2021)」として4月から学校現場で教員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
「問いからはじめる教育学」勝野 正章 (著), 庄井 良信 (著)
おすすめの理由
今、大なり小なり学校も変化しようとしています。学習指導要領の改訂、それに伴う教科書の改訂。
そこで示されているカリキュラム・マネジメントと教科横断、そして社会に開かれた教育課程。経産省の未来の教室事業に代表されるような新しい教育、英語はもちろんプログラミングやPBL、STEAM教育など多岐にわたることが求められています。
また、ネガティブな発信スタートの働き方改革と校則への批判。さらに、GIGAスクール構想を加速させるようにコロナ禍で進んだ1人1台PCとその活用などなど。
(外から見たら)戦前から変わらないと批判され続けてきた学校教育が大きく変化するタイミングで、一緒に変化を進めていける仲間が増えることをとても嬉しく思います。
学校の中だけで頑張っていても、外から好き勝手言うだけでも子どもたちの学びはよくならないと感じています。
こうやって「紹介された本を読んでみよう」「文章を読んでみよう」と思っているみなさんならば、きっと学校の外と中の架け橋、通訳になることができるのではないかと考え、この本を紹介することにしました。
学校外からの視点は学校が変わっていくためにもとても重要です。
学校外とは教育委員会、文部科学省などの教育行政だけでなく、保護者や地域の方、NPOや企業の思い、そして何より個が発信できる時代において、かつて小学生だった大人たち一人ひとりがそれぞれの視点から学校に意見をくださいます。 中には意見同士で矛盾していたり、現実的に不可能だと思えたりすることもあるでしょう。
そんな時、我々教員の拠り所(考え方によっては武器)になるものは3つあると思っています。
一つ目は、教育基本法、学校教育法、学習指導要領などの"法規やそれに準ずるもの"です。ブレそうになったらここが基本です。
二つ目に、"教育を学問として学んでいるということ"です。教育原理や教育哲学を学んでいるからこそ、怪しげなバズワードに踊らされずにすみます。教員がふらふらとバズワードに踊らされて困るのは子どもたちです。
そして三つ目に、その"子どもたちが目の前にいるということ"です。結局は学びの主体者はどこまでいっても子どもだということを謙虚に受け止める必要があります。
今回紹介した「問いからはじめる教育学」は、先ほどあげた拠り所の中の二つ目"教育を学問として学んでいること"が拠り所(武器)として不安な人へのオススメの1冊です。 もちろんこの本でなくてもよいのですが、「よい先生とは?」「よい教育とは?」という質問からスタートするので理解しやすいと思いオススメさせていただきました。
残念なことにSDGs、PBL、STEAM、アダプティブラーニング、反転授業などの言葉がバズワードとして学校現場でも広がり始めている感覚があります。
新しい(と思われる)ことをきちんと一次資料から学ぶことと同時に、ぶれることない芯をもった先生にを一緒に目指しましょう。
おすすめしてくれた方
小林湧さん
埼玉県戸田市立小学教諭
ベネッセコーポレーションで2年間、NPO法人Teach for Japanのフェロー(常勤講師)として2年間勤務後現職。
今年度は6年生の担任として特別活動、セサミストリートカリキュラム、プログラミング、イエナプラン/ブロックアワーなどを担当、実践。
(企画:木村彰宏 / 編集:高野雅子)