「初任者へおすすめの一冊 (2022)」として4月から学校現場で教職員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
おすすめの書籍
おすすめの理由
親愛なる初任者のみなさんへ
ある時、この絵本を子どもたちに読み聞かせしていると、自分の不甲斐なさがこみ上げてきて、途中で読めなくなってしまったことがあります。その時、子どもたちに「ごめん。いそべ先生のように、みんなのことを見られていない。」と伝えるのがせいいっぱいでした。
いそべ先生は、この絵本に出てくる先生です。
舞台となっているのは、1人1台端末の環境が整っている現代や、Society 5.0というコンセプトの未来とは、かけ離れた時代の学校。まだ、子どもたちが着物で学校に通うような時代の学校。
その学校に、「みんなとは違う」一人の男の子がいます。「みんなとは違う」ことで、まわりから蔑まれて、小学校生活の5年間を過ごします。しかし、いそべ先生との出会いで、周りの子も、地域の人たちも、男の子への見方が変わります。そして、その男の子自身も、安心して自分らしく生きていくようになります。それは、いそべ先生がその男の子と向き合う中で、男の子のことを理解しようとしたからです。
「迷っても良いが、ブレることがないように」というアドバイスを目にすることがあります。でも、こんなに経験を重ねてきても、ボクは未だに迷うだけではなく、ブレています。そんな時、この絵本を見返します。そして、自分に問い返します。1人1人に関心をもち、理解しようとしているのかって。
いそべ先生にはなれないかもしれないけれど、それでも、どんな時代であろうとも、いそべ先生の在り方は、ボクたちに、いろいろなことを気付かせてくれるはずです。
自分自身を問い返すことができる絵本が一冊手元にあると良いと思います。これがボクからのアドバイスです。
追伸
他にも、自分を問い直す、見つめ直す絵本として、『ありがとう、フォルカーせんせい』『だいすきな先生へ』『てん』なんかもおススメです。
おすすめしてくれた方
大野 睦仁さん
音楽なしでは生きられない札幌市内の公立学校に勤務する教諭。ココに通う子どもたちと、ココで働く先生たちと一緒に、「学習者主体の教室づくり/対話を通した職場づくり/内省を生かす自分づくり」を模索中。
「教師力BRUSH-UPセミナー」事務局 札幌市近郊サークル「Go-Ahead」代表
2006年札幌市教育実践功績者表彰受賞 2007年文部科学大臣優秀教員表彰受賞
Twitter:https://twitter.com/m_tongarikids
Instagram:https://www.instagram.com/mutsuhito.ohno
単著
『「結びつき」の強いクラスをつくる50のアイデア』(ナツメ社)
『6ステップでつくる!本気で考える道徳授業』(明治図書)
共著
『笑顔と対話があふれる校内研修』(学事出版)
(企画:木村彰宏 / 編集:たかのまさこ)
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