「初任者へおすすめの一冊 (2022)」として4月から学校現場で教職員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
おすすめの書籍
おすすめの理由
私がこの本をおすすめする理由は、3つあります。
①教室に必要な物が分かる。
②環境に込められた教師の思いを知ることができる。
③環境が豊かな人間関係をつくることに気づくことができる。
私は、初任者に必要なのは、教師としての心構えと、物の準備であると考えています。そして、前者の内容を教える本はたくさんありますが、後者については、それほど多くありません。教育雑誌などで取り上げられても、数点の便利アイテムについて書かれていたり、教師の好みやこだわりを紹介するものが多いように感じます。
しかし、おすすめしたい本書は、アイテムが55個も紹介されているだけでなく、見開き2ページにつき1つのアイテムの「作り方や使い方」「意図」「使っている様子」が分かりやすく提示されています。
1アイテム読むたびに、著者である鈴木優太先生の笑顔や、教室の雰囲気が思い浮かぶような気持ちになります。それは、使い方一つ、作る過程一つに至るまで、すべてに教師の願いが込められているからでしょう。
求めることから、導く方へ
初任者のときは、いろいろなことを一方的に子どもに求めがちです。
「活発に話をしてほしい」
「宿題を忘れず出してほしい」
「掃除道具を大切にしてほしい」
要求ばかりを心の中にため込むと、教師も子どもも幸せにはなれません。
本書の中に、
「家庭学習ラベル」、「ホワイトボード&イーゼル」、「マイぞうきん君」の実践が掲載されています。
鈴木先生は、きっと、
「話を聞きたくなるにはどうしたらいいか」
「宿題忘れを無くすには、どんな工夫ができるか」
「掃除道具に何かの工夫すれば、道具を大切にしながら楽しく掃除ができるかも」
と考え、子どもたちが安心して動き出せるように手立てを準備したのでしょう。
『教室ギア55』に掲載されているアイテムは、子どもへの願いを一方的に押し付けるのではなく、環境を整え、安心して過ごせるようにすることで、子どもの行動を導くものです。
アイテムを通した子どもたちへの愛情を、ぜひ感じてください。
おすすめしてくれた方
樋口 綾香さん
小学校教諭14年目。大阪教育大学附属池田小学校にて6年間国語を研究し、現在はICT加配として、公立小学校で勤務している。SNSでは、日々の国語授業や教室環境づくり、仕事の葛藤や喜びなどを本音で綴り、フォロワーは2.5万人を超える。 小学館WEB版「みんなの教育技術」にて板書やICT活用授業のコツを連載中。 主な著書に『子どもの気づきを引き出す! 国語授業の構造的板書』(学陽書房)『3年目勝負の国語授業づくり』(明治図書)がある。 関西国語授業研究会、授業力&学級づくり研究会所属。
(企画:木村彰宏 / 編集:たかのまさこ)