SNSのTwitterで募集した企画「#地味改革」。中学校教員のらぱん先生との協働企画です。
改革と言うと何だか大それたイメージがありますが、大きな変化であればあるほど、保守的な現場では反発や分断が起こり得ます。では、ジェンガのピースをスーッと引き抜くような地味さで、自分の半径5m以内をポッと照らすような「地味改革」を、ツイッターの教員の皆様と一緒に進めてみませんか? 学校は、自分の手が届く範囲なら変えられます!
そんな呼びかけにより集まった「#地味改革」の事例を以下に掲載します。
#地味改革 その1
・一太郎の資料をWordで作り直しました!!
・教務主任を務めた時,職員向けの資料や保護者への手紙の字体を全て「UDフォント」に変更しました。
・ジャラジャラした鍵束の鍵に、錠に対応するように色つきシールをそれぞれ貼った
・ファイル名の命名規則を作った。
・密かにBサイズを駆逐しにかかってる。
#地味改革 その2
・道徳の評価文を作成するソフトをExcelで作りました!2回クリックするだけであら不思議!評価文の完成です。
・自分がメインでやる会議の終了時刻を書きました。そして、終了時刻は定時より10分ほど前に設定しました。他の人にも少しずつ広まっています。
・学年でお茶/菓子代を集めない。
・道徳、総合、学活の資料は1年分ファイリングして下学年にプレゼント。
#地味改革 その3
・共有フォルダの分類マニュアル作り。
・職員朝礼前の主任級打ち合わせの取り止め。
・次年度の行事の提案文書を前年度中に準備。
・チャイムソフトをインストールし、入力を簡略化。
・通常時程と特別時程でチャイム音を変えた。
#地味改革 その4
・行事や学校アンケートの電子化。
・クラブ、縦割り班名簿をして、入力・出力を簡略化。
・その他の名簿類も全部電子化。
・共有フォルダをナンバリングして大幅整頓。
・新入学児準備セット(掲示物など)毎年使えるものを残してきました。
#地味改革 その5
・今まで早く着替えたい子は…体操着+学校内着でしたが、この暑さでは熱中症になる可能性もあるので体操着のみで授業が受けられるようになりました。
・通知表の印鑑押印欄(担任、校長、保護者)を削除し、校印をカラー印刷設定する意見を出し採用されたこと。担任印や校長印、校印を押す手間が省けました。設定してくれたのは教務さんですが。それを機に所見も年1回に減らし、通知表スリム化により楽になりました。
・教員時代、私が #地味改革 したのは「完璧になるまでやらない」
2年目の最初までは土日も出勤して教材研究や事務処理をしていました。
でもどんなに準備をしても「これで大丈夫!」と自信を持てることがほとんどありませんでした。
教師の仕事は際限がない。
多分、追い求めれば求めるほど、どんどん出てくると言った方が適切かもしれません。
だからこそ「休むときは休む!!」を実践するようにしました。
もちろん仕事を中途半端で終わらせるというのではなく完璧にしようとしないに近いと思います。
時間の使い方を変えてから気持ちに余裕ができました。
「完璧な人間はいない。」
と思うことができるようになったからです。
自分がそう思えるようになったからこそ子どもたちに対しても同じ言葉をかけることができるようになりました。
「誰だって間違える。人間だから。」
だから私が頑張っている先生方に伝えたいのは
「完璧になろうと思わなくていい。」
ということ。
全力で取り組むことと完璧にしようとすることは違います。困ったときは助けを求めていいし辛いときは甘えていいです。先生も人間だから頑張っている自分を褒めてください。
#地味改革 その6
・帰りの会が終わる15:40から1時間年休を取ることを、プチ年休略して「プチ」と名付けてファッション化。「明日プチ取りますー」と気軽に言えるように。 プチ取得者は、子どもを教室から出した瞬間ダッシュで退勤。下校指導は、残りのスタッフで。お互い様の精神。
・行事の起案とかで使い回されてた一太郎の書類をいくつかワードで作り直した事と遠足等で公共交通機関を使う時にどの交通手段が、障害者手帳のどの区分で、どれだけ割引されるのか、介助者も割引になるのかを一覧表にまとめた事です。 あと養護教諭の先生と協力して、コピー用紙の予備を保管庫から持ってきてコピー機の近くに積んでおく時は、破りやすい面を上に積むっていうのを徹底してました。
・かなり前の前任の先生が作ってくださってあった漢字練習プリントの手本をフォントを明朝体から教科書体に変えました。明朝体だと手書きの字と違いがあって指導しづらかったので。
・教員生活最終年度。部活の練習日を週1日減らした。一部の保護者からはクレームがきたが、生徒は喜んでいた。健全な活動には健全な休息が必要。人生において"休む"ことの大切さも伝えられたと思う。あれこれ悩むより、まずはやってしまうことが大切。
#地味改革 その7
・生徒会でやっていた「ペットボトルのキャップの回収」を止めました。何故か学級委員会が担当していたし、活動の目的も形骸化していたので。何より生徒会担当が自分の車にキャップ積み込んでイオンに持っていくのが大変だった。若い先生にこんな負担させたくないです。
・職員室の机の上や本棚に、働き方改革関係の本、探究学習系の本を目立つように置いておく。 この本気になってたんですよ、と声をかけてくれた人に貸したりした。
・教科の共有フォルダに「01漢字テスト」「02授業プリント」などの通し番号をつけて、下位フォルダを年度で分けた。
・親睦会費の繰越金が何十万円にもなってるので、会費の値下げと、もらえるお餞別の金額を上げたのと、職員室に新しい電子レンジ買いました。 コロナ禍でランチに出られなくなって、電子レンジが大活躍!!
#地味改革 その8
・社内メールの件名の工夫。「Re:〇〇」を開いたら、本文が「確認しました」「完了しました」「ありがとうございました」だけとか、開封時間の無駄。「Re:〇〇 ありがとうございました!(本文なし)」となっていれば、すぐに捨てられる。LINEと一緒。
あと、「〇〇について」だと、開けないと中身がわからない。「会議を延期します」など、結論から書く。 以前最悪だったのが、「〇〇先生について」というメールをもらって、クレー厶かと思ったら、次の研修を欠席する連絡。そのメールを開くのに、どれだけ心が重かったか!
・共有サーバーとパソコン教室サーバーへのショートカットを全教諭PCに作成したので、情報機器担当(自分)の仕事ががっつり減りました。 仕事の多くが「共有サーバーってどうやって見るんですか?」への対応だったので。
・自分、毎年デザイン変えて毎年購入に追い込まれていたポロシャツのデザイン、ずっと使用できるやつに!次の年から買いたい人だけ、異動してきた人だけってなって、今もなおそのデザイン使ってくれてる。 あのとんでもない忙しさの中やっていた若手の仕事減らしたよ〜!
#地味改革 その9
・学校ホームページに欠席連絡フォームを設置/学校電話を定時後に自動応答へ/職員会議資料をPDF化
校内印刷物からB版を駆逐/教員間のデータ共有にGoogle Drive導入/教員の中学校訪問廃止
・Twitterの『#学校の業務削減』タグを参考にする
・Twitterの『#教師の働き方自主改革』タグを参考にする
#地味改革 その10
・わたしの校内での地味改革は、夏休みの図工や国語の作品応募を学校を通して行わないように管理職に約束を取りつけたことです。来年度からは、学校だよりに作品応募を一覧にしている民間のURLを記載して、個人での応募をお願いすることになりました。
〈管理職への打診と約束の取り付け〉
まずは教務主任と作戦をたてました。現状のメリットデメリットを整理したうえで、学校にとっては働き方改革になること、子どもにとっては参加の機会が広がることをメリットとして伝えました。管理職とは口頭でのやり取りなので、学経で正式に職員に諮る予定です。
〈チャレンジの機会の確保〉
これはとある民間の方のHPがないと実現が難しいです。官公庁からの応募はとりまとめることがまだできますが、民間のものはほぼ不可能でした。そのHPのURLを学校だよりなどに掲載する許可をいただいて発出する予定です。
・これ(画像参照)作りましたー。「補充」って変えたけど、効果ありましたよー。
・朝の健康観察の時間の削減となかなか自分の体調をうまく言えない子のために。扉に貼ってサイドに名前を書いたウッドピンチをつけて朝きたら自分で動かすやつ作りました。
編集後期
この企画に参加してくださった教員のみなさんの取り組みから、「半径5mから変えていく」もしくは「自分の中の意識を変えていく」といった一人ひとりの積み重ねが、少数派の困りごとへの配慮を形にしたり、大きな変化への希望になることを教えていただきました。(中には大きな改革だと感じられるものもありましたが!)
主体的に課題に取り組む教員からの影響は、児童・生徒へも及ぶはずです。「私たちは現状を自分たちの力で変えられるんだ」という体験が学校現場に増えるにはどうしたらいいか。今後もみなさんと考えていきたいです。
(編集:たかのまさこ)
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