「初任者へおすすめの一冊 (2022)」として4月から学校現場で教職員として働く方向けに、様々な分野で教育に携わる先輩方から、おすすめの1冊をご紹介いただきました!
おすすめの書籍
おすすめの理由
この本は、自分の強みを見つけることを目的にして作られています。
本についているアクセスコードを使ってWebテストの質問に回答すると、34の資質の中からあなたの強みである資質を5つ選び出してくれます。
78億人が住むこの地球で、あなたが4月から関わる生徒は何人いるでしょうか?
これはものすごく、すてきな巡り合わせですよね。
人の行動や考え方は、生まれてからその人が経験してき色々な出来事や関わってきた出来事と、そして育ってきた環境に大きな影響を受けてきています。
きっと生徒(そして同僚の先生にも)の中には、あなたと考え方が似ている生徒はもちろん、まったく異なる考え方をする生徒も中にはいると思います。
そんな多様な生徒たちと関わる準備として、ぜひ一度この本を手に取ってみて欲しいと思います。
読み方のポイントは、2つあります。
①自分自身について知る
テストを受けて、あなたの「強み」である5つの資質について読んでみてください。
「確かにわかる!」と思うものもあれば、「これは意外だな」と感じるものもあるかもしれません。
あくまでもテストの一つなので、この結果が100%ではありませんし、世界にはもっとたくさんの価値観がありますが、一つの指標として捉えてもらえたらなと思います。
そこにはきっと、普段の生活の中であなたが大切にしている価値や考え方が現れると思います。
教育学の言葉に、"隠れたカリキュラム"(潜在的カリキュラム、Hidden Curriculum)という言葉があります。
先生が大切にしている価値や考え方は、授業中の発言や授業外での生徒との会話の中など、学校生活の様々な場面であなたから発信され、生徒はそれを受け取ります。
おそらく、上位に入った強み(価値観)は、皆さんが先生になった時に、色々な場面で顔を出します。
たとえば小学校だと、「黄金の3日間」と言われる年度初めに、学級目標を生徒と考える時。子どもたちがケンカをした時に、仲裁に入る時。体育のゲームルールを考える時。
中学校や高校であれば、授業設計を考える時や進路相談の時、部活動の時などが考えられます。
4月から、どんなことを大切にして教壇に立ちたいか、そしてそれは自分のどんな過去の経験に基づいていそうか、ぜひ一度時間を取って振り返ってみてください。
②生徒の目線から捉える
ふたつめの読み方は、自分のTOP5に入らなかった強みに関して読むことです。
読み進めると、「こんな考え方したことない!」「自分とは正反対だな...」と感じるものがあるのではないでしょうか。
そんな価値観に、特に注目してください。
これを通して、より多くの生徒の価値観や考え方に触れることができます。
また、4月以降、もしも生徒の理解や信頼作りに悩むことがあったら、またこの本を手に取ってほしいと思います。
「なんで自分はあの時、こんな感情になったのだろうか」
「もしかしたら、あの子はこんな価値を大事にしていて、あの時あの行動を取ったのかな」
など、自分自身のことや生徒の行動や考え方について振り返るものさしのひとつになるでしょう。
学校では、日々様々なことが起こります。
そんな学校生活を通して、生徒たちはいろいろな人と関わりながら自分について学び、成長していきます。
そんな毎日に関わることができる先生という仕事は、本当に素敵な職業です。
悩む日もあると思いますが、みなさんの心の軸を大切にしつつ、生徒の多様な価値観に触れてください。
その先に、きっとあなた自身にも、新しい世界が見えてくることと思います。
遠くから、応援しております!
※本についているアクセスコードは購入後、一度のみ使用できます。
おすすめしてくれた方
山本 茜さん
米国コロンビア大学教育大学院(Teachers College, Columbia University) 発達心理学修士課程1年。
学生時代に日本の大学からアメリカの大学に編入し、環境教育を中心を学ぶ。日本に帰国後、留学アドバイザーとして働きながら教員免許を取得し、2016年にTeach For Japan4期フェローとして福岡市の小学校に赴任。フェロー修了後は、福岡市小学校教諭として小学校に勤務。2021年9月より、フルブライト奨学生として米国コロンビア大学教育大学院(Teachers College)に進学し、発達心理学を専攻。Social Emotional Learningなどの観点から、みんなとの学びから自分を知る公教育について勉強している。
(企画:木村彰宏 / 編集:たかのまさこ)
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