パブコメ出そう!「令和の日本型学校教育」の構築を目指して (答申素案)-①

みなさんは、中央教育審議会(通称:中教審)をご存知でしょうか?

中教審とは、文部科学大臣の諮問機関として教育に関する基本的な重要施策について、専門的な立場から調査審議し、文部科学大臣に意見を述べる機関として設置されています。

現在、中教審の答申素案「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」についてパブリックコメントを受け付けています。(~2020/12/21まで)

今後の日本の教育の方向性に関して重要な内容なので、日頃から学校現場や日本の教育に課題を感じられてる方々はパブリックコメントしてみませんか?
以下に、図解と関連する内容(一部略)、+αの解説を掲載しましたので、参考にしてみてください。


1.急激に変化する時代の中で育むべき資質・能力

人工知能(AI),ビッグデータ,Internet of Things(IoT),ロボティクス等の先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられSociety5.0 時代が到来しつつあり,社会の在り方そのものがこれまでとは「非連続」と言えるほど劇的に変わる状況が生じつつある。

▽Society5.0とは
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。*参照:内閣府WEBサイトより)

このように急激に変化する時代の中で,我が国の学校教育には,一人一人の児童生徒が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができるよう,その資質・能力を育成することが求められている。

次代を切り拓く子供たちに求められる資質・能力としては,文章の意味を正確に理解する読解力,教科等固有の見方・考え方を働かせて自分の頭で考えて表現する力,対話や協働を通じて知識やアイディアを共有し新しい解や納得解を生み出す力などが挙げられた。
また,豊かな情操や規範意識,自他の生命の尊重,自己肯定感 ・自己有用感,他者への思いやり,対面でのコミュニケーションを通じて人間関係を築く力,困難を乗り越え,ものごとを成し遂げる力,公共の精神の育成等を図るとともに,子供の頃から各教育段階に応じて体力の向上,健康の確保を図ることなどは,どのような時代であっても変わらず重要である。

上記の太字部分は、第3期教育振興基本計画の中で示されています。

▽第3期教育振興基本計画とは
教育基本法の理念を踏まえ、第2期教育振興基本計画において掲げた「自立」、「協働」、「創造」の三つの方向性を実現するための生涯学習社会の構築を目指すという理念を引き継ぎつつ、2030年以降の社会の変化を見据えた教育政策のあり方を示したものです。

国際的な動向を見ると,国際連合が平成 27(2015)年に設定した持続可能な開発目標(SDGs)などを踏まえ,自然環境や資源の有限性,貧困,イノベーションなど,地域や地球規模の諸課題について,子供一人一人が自らの課題として考え,持続可能な社会づくりにつなげていく力を育むことが求められている。また,経済協力開発機構(OECD)では子供たちが 2030 年以降も活躍するために必要な資質・能力について検討を行い,令和元(2019)年 5 月に“Learning Compass 2030”を発表しているが,この中で子供たちがウェルビーイング(Well-being)*を実現していくために自ら主体的に目標を設定し,振り返りながら,責任ある行動がとれる力を身に付けることの重要性が指摘されている。

*=OECD は「PISA2015 年調査国際結果報告書」において,ウェルビーイング(Well-being)を「生徒が幸福で充実した人生を送るために必要な,心理的,認知的,社会的,身体的な働き(functioning)と潜在能力(capabilities)である」と定義している。

「予測困難な時代」であり,新型コロナウイルス感染症により一層先行き不透明となる中,私たち一人一人,そして社会全体が,答えのない問いにどう立ち向かうのかが問われている。目の前の事象から解決すべき課題を見出し,主体的に考え,多様な立場の者が協働的に議論し,納得解を生み出すことなど,まさに新学習指導要領で育成を目指す資質・能力が一層強く求められていると言えよう。

2.日本型学校教育の成り立ちと成果,直面する課題と新たな動きについて

(1)日本型学校教育の成り立ちと成果

こうした制度の下,学校が学習指導のみならず,生徒指導等の面でも主要な役割を担い,様々な場面を通じて,児童生徒の状況を総合的に把握して教師が指導を行うことで,子供たちの知・徳・体を一体で育む「日本型学校教育」は,全ての子供たちに一定水準の教育を保障する平等性の面,全人教育という面,卓越性という面などについて諸外国から高く評価されている。

例えば,OECDによる我が国の教育政策レビューによれば,国際的に比較して,日本の児童生徒及び成人は,OECD 各国の中でもトップクラスの成績であり,日本の教育が成功 を収めている要素として,子供たちに対し,学校給食や課外活動などの広範囲にわたる 全人的な教育を提供している点が指摘されている。

▽諸外国からの評価に関して
日本の学校においては,授業が始まる前のあいさつや授業中の発表の仕方など学習に当たっての規律の習得が重視されており,これによって学習に向けた秩序がしっかりと確立されるため,教員が授業中に秩序維持のために多くの時間を費やす必要がなく,効果的に学習指導を行うことができると指摘されている(Stevenson, H. W. & Stigler, J. W. (1992). The Learning Gap: Why our schools are failing and what can we learn from Japanese and Chinese Education.)。また,掃除や当番などの労働的活動や委員会活動を通じて児童生徒が学校の運営に参加することにより,責任感や主体性がかん養されたり,様々な学校行事により児童生徒の帰属意識や達成感が高められるなど,授業以外の活動が児童生徒の人格的成長に重要な意義を有していると評価されている(Cummings, W. K.(1980). Education and Equality in Japan.)。
*出展:我が国における「学校」の現状

また,文部科学省が全国の小・中学校において毎年実施している全国学力・学習状況調査においても,成績下位の都道府県の平均正答率と全国の平均正答率との差が縮小するなどの全体的な底上げも確実に進んでいる。

同じく全国学力・学習状況調査において,「人の役に立つ人間になりたいと思うか」,「学校のきまり(規則)を守っているか」などの規範意識に関する質問に肯定的に回答した児童生徒の割合は9割程度と高い水準になっている8。震災の際,略奪や暴動もなく,支援物資をもらうために混乱なく並ぶ姿を世界が賞賛したという事例にも表れるように,国際的に比較して,日本人は礼儀正しく,勤勉で,道徳心が高いと考えられており,また,我が国の治安の良さは世界有数である。これは,全人格的な陶冶,社会性の涵養を目指す日本型学校教育の成果であると評価することができる。

▽全国学力・学習状況調査とは
義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
調査結果:https://www.nier.go.jp/kaihatsu/zenkokugakuryoku.html

(2)新型コロナウイルス感染症の感染拡大を通じて再認識された学校の役割

当たり前のように存在していた学校に通えない状況が続いた中で,子供たちや各家庭の日常において学校がどれだけ大きな存在であったのかということが,改めて浮き彫りになった。「勉強が遅れることが不安」「部活を頑張りたいのに」「友達に会いたい」という子供たちの声が日本中に溢れた。また,家庭の社会経済文化的背景(Economic,Social and Cultural Status:ESCS)に格差がある中で,子供たちの学力格差が拡大するのではないかという指摘や,家庭における児童虐待の増加に関する懸念もある。学校という子供の居場所が無いことで,多くの保護者が就労面で課題を抱えるとともに,子育てに関する負担が増大し,大きなストレスを抱えるようになったという指摘もある。
さらに,学校の臨時休業が続いた影響により,学校再開後の登校を躊躇する子供もいるのではないかという指摘もある。

▽家庭の社会経済文化的背景とは
保護者の学歴、職業、所有物(蔵書数など)各家庭の文化的、経済的水準のこと。

こうした学校の臨時休業に伴う問題や懸念が生じたことにより,学校は,学習機会と学力を保障するという役割のみならず,全人的な発達・成長を保障する役割や,人と安全・安心につながることができる居場所・セーフティネットとして身体的,精神的な健康を保障するという福祉的な役割をも担っていることが再認識された。特に,全人格的な発達・成長の保障,居場所・セーフティネットとしての福祉的な役割は,日本型学校教育の強みであることに留意する必要がある。

(3)変化する社会の中で我が国の学校教育が直面している課題

現在の学校現場は以下に挙げるような様々な課題に直面している。日本型学校教育が,世界に誇るべき成果を挙げてくることができたのは,子供たちの学びに対する意欲や関心,学習習慣等によるものだけでなく,子供のためであればと頑張る教師の献身的な努力によるものである。教育は人なりと言われるように,我が国の将来を担う子供たちの教育は教師にかかっている。しかしながら,学校の役割が過度に拡大していくとともに,直面する様々な課題に対応するため,教師は教育に携わる喜びを持ちつつも疲弊しており,国において抜本的な対応を行うことなく日本型学校教育を維持していくことは困難であると言わざるを得ない。

特別支援教育を受ける児童生徒や外国人児童生徒等の増加

特別支援学校や小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒は増加し続けており,小・中・高等学校の通常の学級においても,通級による指導を受けている児童生徒が増加するとともに,さらに小・中学校の通常の学級に 6.5%程度の割合で発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒(知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面での著しい困難を示す児童生徒)が在籍しているという推計もなされている。
また,特別支援学校に在籍する子供たちの約3割弱は,複数の障害を併せ有しており,視覚と聴覚の双方に障害のある「盲ろう」の子供たちもいる。
さらに,特定分野に特異な才能を持つ児童生徒の存在も指摘されている。

外国人児童生徒等の増加

さらに,学校に在籍する外国人児童生徒に加え,日本国籍ではあるが,日本語指導を必要とする児童生徒も増加しており,日本語指導が必要な児童生徒(外国籍・日本国籍含む。)は5万人を超え,10 年前の 1.5 倍に相当する人数となっている。また,約2万人の外国人の子供が就学していない可能性がある,又は就学状況が確認できていない状況にあるという実態が示されている19。こうした中,平成 31(2019)年4月から,新たな在留資格「特定技能」が創設されたことにより,今後,更なる在留外国人の増加が予想されている。

子どもの貧困

我が国の 18 歳未満の子供の相対的貧困*率は13.5%であり,7人に1人の子供が相対的貧困状態にあるとされる。毎日の衣食住に事欠く「絶対的貧困」とは 異なるものの,経済的困窮を背景に教育や体験の機会に乏しく,地域や社会から孤立し,様々な面で不利な状況に置かれてしまう傾向にあると言われている。

*=相対的貧困とは,世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない状態のこと。

いじめの重大事態の増加、不登校児童生徒数の増加

様々な生徒指導上の課題も生じている。平成 30(2018)年度の小・中・高等学校に おけるいじめの認知件数や重大事態の発生件数,暴力行為の発生件数,不登校児童生徒数はいずれも増加傾向にあり,過去最多となっている。加えて,平成 30(2018) 年の小・中・高等学校における児童生徒の自殺者数も減少するに至っていない。いじめの認知件数の増加は,いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し,その解消に向けた取組のスタートラインに立っているとも評価できるが,特に,いじめの重大事態の発生件数や児童生徒の自殺者数の増加は,憂慮すべき状況である。また,児童相談所における児童虐待相談対応件数についても増加傾向にある。

福祉的な役割や子供たちの居場所としての機能を担うことが求められている

このような中で,学校は,全ての子供たちが安心して楽しく通える魅力ある環境であることや,これまで以上に福祉的な役割や子供たちの居場所としての機能を担うこ とが求められている。家庭の社会経済的な背景や,障害の状態や特性及び心身の発達 の段階,学習や生活の基盤となる日本語の能力,一人一人のキャリア形成など,子供の発達や学習を取り巻く個別の教育的ニーズを把握し,様々な課題を乗り越え,一人一人の可能性を伸ばしていくことが課題となっている。

文部科学省・厚生労働省「21 世紀出生児縦断調査(平成 13 年出生児)」によると,「楽しいと思える授業がたくさんある」という質問に対して,「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した割合は,第 13 回調査(中学1年生時点)では 74.8%,第 15回調査(中学3年生時点)では 69.2%となっているが,これに対して,第 16 回調査(高等学校1年生時点)では 66.3%,第 17 回調査(高等学校2年生時点)では 56.4%となるなど,全体的な傾向として,特に高等学校において生徒の学校生活等への満足度や学習意欲が低下している。

高等学校への進学率が約 99%に達し,多様な生徒が在籍する現状を踏まえ,生徒の多様な実情・ニーズに対応して生徒の学習意欲を喚起し,必要な資質・能力を確実に身に付けさせ,またその可能性を最大限に伸長するべく,高等学校の特色化・魅力化を推進することが求められている。

教師の長時間勤務の状況は深刻であり,特に近年の大量退職・大量採用の影響等により,教師の世代交代が進み若手の教師が増えてきた結果,経験の少なさ等から,中堅・ベテラン教師と比べて勤務時間が長時間化してしまったことや,総授業時数の増加,部活動の時間の増加などにより,平成 28(2016)年度の教員勤務実態調査によると,平均すると小学校では月に約 59 時間,中学校では月に約 81 時間の時間外勤務がなされていると推計されている。

公立学校教員採用選考試験における採用倍率の低下傾向も続いている。
特に,小学校では,平成 12(2000)年度採用選考においては 12.5 倍だった採用倍率が令和元(2019)年度には 2.8倍となっており,一部の教育委員会では採用倍率が1倍台となっている。採用倍率の低下傾向は,定年退職者数や特別支援学級・通級による指導を受ける児童生徒の増加等に伴う採用者数の増加や民間企業の採用状況等の様々な要因が複合的に関連していると考えられる。

数学や科学に関するリテラシーは引き続き世界トップレベルである一方,言語能力や情報活用能力,デジタル時代における情報への対応(複数の文書や資料から情報を読み取って根拠を明確にして自分の考えを書くこと,テキストや資料自体の質や信ぴょう性を評価することなど)などの課題がある。また,子供たちのデジタルデバイス の使用について,我が国では,学校よりも家庭が先行し,「遊び」に多く使う一方「学び」には使わない傾向が明らかになった。

少子高齢化,人口減少という我が国の人口構造の変化は,世界でまだどの国も経験をしたことのないものであり,我が国の学校教育制度の根幹に影響を与え, また,先に述べた採用倍率にも影響を及ぼしている。少子化の進展により小学校と中学校が1つずつしかないという市町村が 233団体(13.3%),公立高等学校の立地が0ないし1である市町村は 1,088 団体(62.5%)という現状も踏まえ,学校教育の維持とその質の保証に向けた取組の必要性が生じている。

学校基本調査-令和元年度結果の概要-

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための臨時休業措置が長期にわたっ て実施される中で,全国の学校現場は,電子メール,ホームページ,電話,郵便等の あらゆる手段を活用して子供たちや保護者とつながることによる心のケアや,また, 教科書や紙の教材,テレビ放送,動画の活用等により,子供たちの学習機会の保障などに取り組んだ。

しかしながら,公立学校の設置者を対象とした文部科学省の調査では,ICT 環境の整備が十分でないこと等により,このような状況で学びの保障の有効な手段の一つとなり得る「同時双方向型のオンライン指導」の実施状況は,公立学校の設置者単位で15%に留まっている。また,学校の臨時休業中,子供たちは,学校や教師からの指 示・発信がないと,「何をして良いか分からず」学びを止めてしまうという実態が見ら れたことから,これまでの学校教育では,自立した学習者を十分育てられていなかったのではないかという指摘もある。

新型コロナウイルス感染症の感染収束が見通せない中にあって,各学校は,感染防止策を講じながらの学校教育活動の実施に努めている。一方,公立小中学校の普通教室の平均面積は 64 ㎡32であり,一クラス当たりの人数が多い学校では,クラス全員で一斉に授業を行おうとすれば,感染症予防のために児童生徒間の十分な距離を確保することが困難な状況も生じている。新型コロナウイルス感染症が収束した後であっても,今後起こり得る新たな感染症に備えるために,教室環境や指導体制等の整備を行うことが必要であるとともに,学校においては平常時から児童生徒や教師が ICTを積極的に活用するなど,非常時における子供たちの学習機会の保障に向けた主体的な取 組が求められる。

(4)新たな動き

学校における働き方改革や,GIGAスクール構想の実現といった動きも加速・充実させ,新学習指導要領を着実に実施しながら,従来の日本型学校教育を発展させた新しい時代の学校教育を実現する必要がある。

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