先生一人ひとりにオーナーシップを。「自分から取り組みたいという環境を作る」ことが目的達成への近道に

高司先生(神奈川県・公立小学校)

神奈川県の公立小学校で教員として働かれている高司さんにインタビューしました。子どもも大人もオーナーシップを持つことの大切さが伝わってくるインタビューです。


―早速ですが、コロナの感染拡大防止の中で勤務校ではどのような取り組みをされていますか?

僕が勤務する小学校では、家庭へのICTのアンケートを取りました。先週の金曜日(5月15日の段階で校内のiPadの貸し出しの準備が完了しいつでも貸し出せる状態になっています。調査でわかったのは、全校児童800人のうち30人が貸し出しを希望しているということでした。

―公立の小学校だと、教育委員会からの通知を待ってから動くことが多いと思いますが、かなり早く動かれたんですね。なぜ、できたんですか?

実は、勤務校の教頭先生が元々ICTの推進を担当されていた指導主事だったので、動き出しが早かったということが理由です。職員間でも、zoomで遊んでみたり、朝の連絡や会議もzoomに移行したりしました。

管理職が中心になって取り組みを進めると、このような非常事態の時には物事がよりスムーズに進むということはどの先生のインタビューからも伝わってきます。ICTの導入がうまくいっている高司先生の勤務校では、他に課題はないのでしょうか?

―オンライン導入の取り組みが素晴らしいなと思ったのですが、校内のコロナ禍での課題はあるんですか?

先日、学習指導部の中でプレゼンをしました。というのも、これまでのような授業のあり方を続けていくと学校は、後手後手の対応になると思います。そこへの危機感があるので、どのようにやるかを話し合うだけでなく、この状況の中で、子どもたちがよりよく学べるように何をやるか(※)を話し合いませんかという提案をしたんです。

※Edtechを用いた探究的な学習へのシフト

―どういう反応でしたか?

提案は、肯定的に受け入れてはもらったものの最後はさらっと流れそうな感じを受けました。なので、少しでも具体的な話をしてやってみましょうという流れを作っていったんです。先生たちの中には、Edtechを用いた探究的な学習のイメージがわかないとか、もっと具体的に知りたいという不安を持った方もいらっしゃると思います。だから、それを話していく場を学年で作りたいなと思っています。他にも、オンラインでの学習形態に慣れるためにも先生たちがgoogleを使って遊ぶ場を作っていきたいですね。実際に少しずつ動き出しているんですが実は、どちらの機会を作るのも、僕ではなく、他の先生にお願いしました。

―自分で取り組んだ方が、早く場を作れたり思う通りの場にできたりするんじゃないですか?

確かにそうかもしれません。でも僕は、先生たちにオーナーシップを持ってもらいたいんです。一人ひとりが自分から取り組みたいという環境を作ることができればいいなと思います。共通理解やビジョンを共有しているとより速くみんなで動けると思っています。対話を大事にしながら進んでいくことは遠回りに思うかもしれないけれど、近道なんです。なので一人ひとりに作り手として参加してもらう形にしました。

―そうするとその時の、高司さんの役割は何になるんですか?

うーん。おそらく、管理職が方向性を示してくれるのはいいなと思うのですがそれだけではなく、職員室のみんなで対話できる全体の場を作るのが僕の1つの役割じゃないかなと思います。あとは、他校にも同じような取り組みをしている人がいるので、勤務校と他校を繋ぐのも僕の役割かなと思います。

―高司さんが勤務校でよりよい場を作りたいと思うようになったきっかけはあるんですか?

ファシリテーションの研修に参加したことが大きかったですね。そこで、ファシリテーターのスキルだけでなく在り方や生き方にも触れました。もう1つは、奥さんの一言が大きかったかもしれません。僕が、自分の子どもを今の公立の学校には通わせたくないから私立も考えようかなと話していたら、それって限られた人しか選べないよね。と言ってくれたんです。その時、だったら自分の子を通わせたいと思える公立学校にしたいなという気持ちが湧いてきました。

―奥さんの一言が鋭いですね!高司さんは自分が受け持った子たちをどんな子どもに育てたいんですか?

とがりのある子かな。とがっていく中で、自分のことを理解して探究していく子に育てたいなと思います。そして、そのとがりのある子たちが繋がれる場が学校であれば幸せだなと思うんです。そんな学校になるように、子どもも大人も対話が必要になってくるんじゃないかなと思います。

―今は、どんな授業をされているんですか?

「今は、『学び合い』に取り組んでいます。いろいろな実践をする中で、学び合いにたどり着きました。もう7年ぐらい続けていますね。初任の時は向山先生のTOSS。3年目からは、岩瀬先生や成田先生の信頼ベースのクラスづくり、そして4年目の1年生担任の時に西川純先生の『学び合い』を始めました。」

―僕も『学び合い』を学んでいた時期があるんですが、学び合いに振り切るのに恐さや不安はなかったんですか?

1年目は、本当に上手くできたんですよ。ただ、2年目は全然うまくいかなくて、保護者の方にもどうなっているんですかと言われる状況でした。その時に一緒に組んでいた先生が僕のことを理解してくれていたので、支えてもらい、別の保護者の方にも励ましの言葉をもらったりして続けていくことができました。去年は6年生を担任していたんですが、去年のクラスはいい学び合いができたなと思います。

編集後期

学び合いに行き着く過程で、ファシリテーターの在り方や生き方に触れてこられた高司先生。学び合いもファシリテーションも、やり方ではなく自己を理解し、自分自身のあり方や生き方を深めていくことが大切だとおっしゃっていました。学び合いの中でも、誰ひとり見捨てないよという意志を教師の生き方を通して伝えていくこと。手段ではなく考え方や哲学と力強く仰られていた高司先生の言葉からは、真摯に子どもにも大人にも、そして自分にも誠実に向き合っていらっしゃるんだということが伝わってきました。高司先生の周りには、高司先生の姿にエンパワーされたよりよい学び手が育っていくんだと感じました。高司先生ありがとうございました。
(インタビュー・グラフィックレコーディング・編集:石橋智晴)

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