勇気を出して校長への相談から始まったミニTED。先生一人ひとりが変わることで、これから出会う何千人という子どもたちの未来が変わる

ひさお先生(神奈川県・公立小学校)

神奈川県の公立小学校で教員として働かれているひさおさんにインタビューしました。学校の先生たちとともに子どもたちによりよい学びを届けようと勇気ある一歩を踏み出されたひさおさんのストーリーです。


―TED(逗子の教育サークル)に参加させていただき、ありがとうございます。僕は、まだひさおさんのことをよく知らないので、今日はひさおさんご自身のこともお伺いできたら嬉しいなと思っています。よろしくお願いします。まずは、校内で取り組まれていることについて教えてください。

コロナが広まって、何かを変えなきゃ。という意識はありました。でも、公立校の中では、勝手に動いて変な結果を招くと怖いという意識や、周りの先生や近隣校の状況に合わせるという意識があって、中々動き出せないもどかしさがありました。教員として、できることは限られているので、まずはこの状況の中で、人としてできることはないかと考えてブログを作成し、発信をすることから始めました。

―ブログでは、毎日SDGsやレッジョエミリアなど多岐に渡って発信されてますよね!

今年は、図工の専科なので、どんな取り組みをしようか調べていたら先輩にレッジョエミリアの実践を教えてもらいました。最近は、新しいことをどんどん学びながら発信しているので、頭がパンクしそうなんです(笑)

学校の中で、中々動けなくても人としてアフターコロナの世界を見据えて少しづつ行動を起こしているひさおさんの姿勢には尊敬の一言です。

―学び綴る姿勢が素晴らしいと思いますが、最近学んだ中で刺激的なことはありましたか?

私立校の実践だったんですが、この2、3ヶ月で、一気にオンラインの環境を整え、朝の会や授業もずっと取り組んでいる学校があって、刺激を受けました。グローバルに世界中の人とオンラインでつなげて、子どもたちに教育を届けている取り組みを見ると、完成されているなと感じました。他校は動き出しているのに、やはり僕たちには何もできないのかと焦りを覚えました。

―その焦りは、今の動きに繋がっていったんですか?

そうですね。今、課題と感じているのは、取り組みをするにあたっての先生たちのマインドです。次に備えて、先生たちのマインドセットをアップデートすることが大切だと感じ、校内でミニTED(※)を始めようと動き出しました。今は、それが校内の先生の得意分野をお互いにプレゼンする自主研修につながっています。今度、2年目の先生がマウスを使わないで動かすエクセルのショートカットというテーマで研修してくれるんですよ。正直、今の取り組みがどんな未来に繋がるかはまだわからないんですが、少なくとも、先生たちも動き出したかったんじゃん!という確信は持つことができました。
※ミニTED…サークル内では、オンラインでのプレゼンサービスTEDを模して、定期的に所属している先生がプレゼンをする時間を設けています。そうすることで、それぞれの教育観を共有しあい、フィードバックをもらえる関係を築いていくためです。

―その動きを始めるために、まずは何に取り組んだんですか?

校長先生の所に相談に行ったのが、最初の一歩かなと。うちの校長は本当にできる人で、ちょっと近寄りがたい雰囲気があるんですよ。僕も普段校長と喋るときは声が上ずるくらいね(笑)

―僕だったら、いけないかもしれないな(笑)ひさおさんを突き動かしたのは何だったんですか?

休校中に、校内を見て回っていた時に、教室に誰もいない状況に本当に非常事態だなと感じたんです。これがもし、同じ非常事態でも地震だったら先生たちって真っ先に動いて子どもたちを守るのに、今はそれができていない。そんな危機感と校長の恐さを考えたら、危機感の方が上回って、勇気を出して校長の元へ行きました。

ひさおさんの話から、我が身かわいさを飛び出して今必要なことは何なんのかを考えながら勇気を出して行動する大切さを学びました。この後、校長先生はひさおさんを大きく後押ししてくれて、一緒に校内の先生に対するプレゼンを作ってくれたり、時間を作っては自主研修に参加したりしてくださっているそうです。ひさおさんの勇気ある一歩が、校内の取り組みを進める大きな一歩になったことは、勤務校のよい未来につながる大きな一歩なのだと思います。

―ひさおさんの、行動本当にすごいと思います。

僕も、最初は怖かったんですが、ある環境活動家の言葉を思い出したんです。『環境に対する取り組みは、みんなでやれなくても、1人でもできる。1人で立ち向かう勇気が大切』そんな言葉を思い出したからこそ、立ち向かって行けたんじゃないかなと思います。ただ、この現状だから自分の行動が加速されたと思っているので、普段からやれることはやっていかないといけないなと反省もしています。

―ひさおさんのようなマインドセットの人が増えてくるといいですね

先生たちって、すでに学校にあるシステムがよいものと思っていて、実際すごくいいんだけど、さらによりよいものにしようとするマインドが今のところあまりないなと感じていました。今起きている問題を自分事化するためには、自分もその中で楽しんでいけば、自分の楽しい未来につながるということを意識することかなと思います。そして、そのためには、実は僕が言わない方が届きやすい時もあるんです。校長先生から言ってもらったり、初任から声をかけたり、女性には女性の同僚の先生の方がよかったりします。先生1人が変われば、これから出会う何千人という子どもたちがどんどん変わっていくんです。

勇気を出して、自分1人で始めたことを気の合う同僚と推進するだけでなく、より多くの人と協同して進めようとするひさおさん。最近は、職場の先生たちと一層繋がるために、職員室バリスタをこっそり始められたそうです。日々の関係性を丁寧に紡いでいくことが、取り組みをみんなで進めるために必要なことだと教えてもらいました。

―ひさおさんの今のマインドセットを形作った原体験はあるんですか?

何だろう。やっぱり、3才の娘の存在は大きいかな。歳を取るたびに大事にしたいと思えるものが増えていって自分の行動力が高まっていたと思います。中心軸が自分が楽しむことから、楽しんでくれるみんなの中にいる自分を楽しむに変わっていった感じはあるかなとも思います。ちょっと伝わりづらいけど、小学生の頃の忘れられない経験があって、つまらない授業があったから、わざと時計の針を20分早めてたんです。そしたら、先生はその時計を見て、時間通りに終わって僕は歓喜してました。後ですぐにバレましたけど笑 でも今だったら、20分はやめて自分が楽しむというより、みんなでつまらない授業をどう面白くするか考えて楽しむと思うんです。そんな風に、考え方も変わってきたかな。ちなみに、その時計の先生とは、今同じ職場で働いているので、すぐに謝りましたよ(笑)

編集後期

ひさおさんの勇気と一緒によりよいものを子どもたちに届けましょうという熱意は、何にも変えがたいひさおさんの魅力です。僕も、ひさおさんの話にエンパワーされて、職場で研究の変更に関する提案を校長先生にしてみました。ひさおさんに出会えたからこそ進めた小さな一歩。出会えてよかったなと思います。ひさおさん、ありがとうございました!
(インタビュー・グラフィックレコーディング・編集:石橋智晴)

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